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妊婦の痔:おもしろ(ホントは笑えないくらい痛い)体験談【WEBエッセイ】

2018/05/25
 

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■ライター ■夫・長女(小4)・次女(小1)・三女(4歳)の5人家族 ■3人育てているのに物忘れが酷いため、育児について聞かれても『わかんない』としか答えない役立たず。

2008年1月末。

妊娠8か月。

 

わたしは、満を持してになった。

いや、『満をして』と言うべきだろうか。

 

痔=恥ずかしいとか、隠したいと思う気持ちは、人間として当然の心理だろう。『羞恥心』とは本来、痔を語るときに使うものではないのか?と錯覚してしまうくらい、どんぴしゃりな言葉だと思う。

 

 

それ故、羞恥心の塊である『痔』を、好き好んで話す人種はいないと思う。ましてや体験談なんて、以ての外だ。

 

他人がいぼ痔であろうが、きれ痔であろうが、聞かされた方はリアクションに困るだろうし、最悪、近寄ったら痔がうつるんじゃないか?!という疑いをもたれる可能性だってある

 

念の為言っておくが、痔はうつらない。

痔は、水虫のようなカビの一種ではない。

 

今回は妊娠中におきた悪夢『痔』について、堂々と暑苦しく語ってみようと思う。

 

お気づきかも知れないが、通常であれば痔の話をするとき

 

実は・・・(/ω\)照

わたし・・・(/ω\)テレッ

痔になったことがありまして・・・(/ω\)テッテレー

 

と恥ずかし気に語るべきなのだろうと思う。しかし恥ずかし気に語ったところで、可愛げも奥ゆかしさも感じない。

 

だったら、堂々と語った方が潔いではないか。

 

話す内容自体が、初恋の甘酸っぱい思い出でもなければ、修学旅行中に写ルンですで、好きな彼を隠し撮りした思い出でもない、妊娠中に起きた、ただのお尻の大惨事『痔』なのだから。

 

妊婦は痔主が多い

 

妊婦は大概、痔になるのだ。

 

最愛の妻だって、近所の綺麗な奥様だって、堀北真希だって小倉優子だって、みんな痔だ。

 

モー娘。OGに至っては、揃いも揃って痔だ。

 

わたしも後に続けエンヤコラと、妊娠8か月の頃。どこから見ても『妊婦様だ!ドスコイ!』と言わんばかりの貫録を出していた頃、うっかり痔になってしまった。

 

その頃の私は妊娠後期に入り、貧血が酷かったため『鉄剤』を処方してもらい飲んでいた。

 

副作用の欄に『便秘』という文字も書かれていたし、お医者さんも『鉄剤飲んだら便秘気味になるよ』と忠告していた。

 

当の本人は『へー』だの『ほー』だの『そうでやんすかー』という具合に、便秘をたいそう甘く見ていたのだ。

 

 

便秘つっても、出なかったら便の方もさぞかし辛いだろう。頑固な性格とはいっても、こちらが便に対して寛容な心を持っていれば、便だって心を開いてくれる。

 

わたしの方が便に歩み寄ればいいだけだ。

 

便と人間の間には、切っても切れない。いや、実際便を切るとか想像するだけで吐きそうになっちゃうんだけど、便だって3~4日もたてば居心地悪くなって

 

『もー!ごめん!やさぐれて粗ぶってたけど、やっぱ出るわ。そんでさ、語り合お?』

 

とか言っちゃって。わたしはそんな便をそっと抱きしめながら、

 

『便ったら、ほんと素直じゃないんだから・・・もういいよ!許す♡ツンツン』

 

や!やめろよ!ツンツンとか、マジで『にこちゃん大魔王』みたいじゃんか!

 

『もー♡ツンツン!』

 

ちょwwwやめっっww

 

 

という、くだらぬ妄想をしている間に、便が出ないまま一週間がたってしまった。

 

状況はかなり深刻だ。

 

もう、便に会いたくて会いたくて眠れぬ夜を何度過ごしただろうか?

 

 

 

ついにわたしはお腹が痛くなってしまった。ついでにいうと、お尻もちょっと痛い。

 

妊娠中の腹痛は、とにかく区別がつきづらい。

 

 

どういう意味なのかというと、妊娠中のトラブルによる腹痛なのか?陣痛の類のものなのか?それともただの『うんこ』なのか。その区別がつきにくいのだ。

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妊婦の痔:体験談『ついに満を痔した』

 

夫も寝静まった真夜中、わたしはトイレにこもった。

 

夜のトイレはかなり底冷えするし、わたしは怖がりなので、夜のトイレが大嫌いなのだ。

 

後ろを振り返って、もしも・・・「うらめしや」なんて出てきたらどうしよう。お腹も痛いし、おまけにお尻の痛い女なんて、何も恨めしいことは無いだろうに。

 

『うらめしや』なんて言われた日には

 

『めっそうもございません。恨めしいどころか、ただただ残念無念な所存であります』

としか言えない。

 

後ろからだけでなく、便器の中から貞子のごとく現れる幽霊もいらっしゃるから、そちらの「うらめしや」にも十分気を付けなければいけない。

 

 

そんなことを考えていたら、出てきたので有る。

 

何が?とか、野暮なことは聞かないで欲しいし、察してほしい。

 

で、続いて出てきたのが満を痔してのアレである。

 

 

わたしは焦った。焦ったなんてもんではない。お尻がボヤ騒ぎを通り越し、カンカンカンカンバンサンカン!焼肉焼いても尻焼くな状態だ。

 

 

お尻がバンサンカンと、どんど焼きで大ハシャギしている。マッチ一本火事の元とか言ってる場合ではない。大惨事!大火事だ。

 

 

その昔、痔になった父に『ちょw痔とか、マジありえんしwww』だの『よっっ!痔主じぬしさま!』と、母が止めるのも聞かず大ハシャギしていた自分の姿が、走馬灯のように駆け巡る。

 

お父さん、あの時は、からかってゴメンね・・・

あなたの娘は、たった今、痔主になりました・・・

 

妊婦の痔:体験談・・・夫にカミングアウト

 

わたしはトイレの中で、絶望的な気持ちになっていた。

夫には言えまい・・・

 

新婚ホヤホヤの夫に『妻、痔になる』という事実は、あまりに辛すぎるし恥ずかしい。

 

けど、隠し通せる自信はない。

 

翌日は土曜日。最悪なタイミングで、夫は仕事が休みだったのだ。夫さえいなければ、応急処置として一人でボラギノールを買いに行けるのに・・・

 

 

爽やかにボラギノールを買って、何食わぬ顔で生きていけるのに。

 

ちなみに結婚10年たった今なら、痔のカミングアウトなんて躊躇することなく言える。むしろ、どのように面白おかしく伝えようか!

 

『呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!痔になったピヨォォォォン』と、陽気に言える自信すらある。

 

しかし、新婚は無理だ。

 

怖くもない蜘蛛がリビングに現れただけで『キャー!』とぶりっ子していた頃だ。

 

寂しくも何ともないのに『今日飲み会なんだ・・・寂しいなっ』という、演技をぶっこいていた頃だ。

 

 

痔になったなんて、言えるわけがない。

 

しかしカミングアウトしなければ、ボラギノールを買いに行けない。


わたしは寝ている夫を起こした。もう少し詳しく説明するなら、寝室まで痛いお尻を庇いながら、ひょこひょこと陽気な歩き方で夫の元へ向かった。そして

 

『大変なことが起きました』

『我、痔になってたもう』

 

と話し始めた。まじめな夫は深刻そうな表情で

『それは大変だ。大丈夫なのか?』というような事を言っていた。

 

 

夫には申し訳ないが、この案件については深刻に問われるほどに、面白さが増してしまう。

 

もし痔が、夫の問いかけに答えることが出来たなら、きっとこんな感じだと思う。

 

『それは大変だ』

 

『ほんと、大変でやんす。いきなりのボヤ騒ぎから、大火事になったでやんす』

 

『大丈夫か?』

 

『大丈夫な訳ないでやんすよ!お尻がお祭り騒ぎでやんす!

祭りばやしが聞こえるでやんすねぇ・・・』

 

 

妊婦の痔:体験談・・・ボラギノールを買いに行く

 

無事、夫へのカミングアウトも終わった。わたしの心配をよそに夫は、わたしの心に芽生えた羞恥心など無かったかのように、淡々としていた。

 

『今日はもう遅いから、明日の朝ボラギノールを買いに行こう』

『ボラギノールはドラッグストアの、どのコーナーにあるんだろうか?』

 

などとボラちゃんのことで、胸いっぱいという様子だった。


言い忘れていたのだけれど、夫は『なぜ痔になったのか?』という、人体の不思議を解明しようとしていた。

 

 

妊婦は痔になりやすいとはよく聞く。

 

赤ちゃんに栄養を取られてしまうから、便秘になりやすいらしいのだ。しかし

 

『なぜ痔になったんだろう?原因は?』

『うんこ』

 

とは言えない。わたしは苦肉の策で『妊婦の9割は、痔になっているらしい』と嘘をついた。

 

 

わたしの機転の利いた嘘のおかげで『妊婦=痔』という方程式が出来上がった。妊婦には、プラスもマイナスも掛け算も割り算も通用しない。万国共通『妊婦=痔』だ。

 

—翌朝—

 

夫と私は近所のドラッグストアへ、ボラギノールを買いに行った。

 

ボラギノールには、AやらMやらといった種類があるらしい。

こっちがAで・・・

こっちがM!

 

『妊婦さんだったら、ステロイド剤の入っていないMが使えますよ。』と薬局のおばちゃんに教えてもらったので、わたしはボラギノールMを握りしめてレジへ向かった。

 

心の中では、ドラクエのファンファーレが鳴り響いていた。

 

妊婦の痔:体験談・・・出産時の悪夢

 

ボラギノールをゲットし、その翌週には妊婦健診があったので、さらに効きそうな薬をゲットできた。

 

あの晩の悪夢が嘘のように、わたしの痔はメキメキと回復し、絶好調だった。

 

それから再び、痔がボヤ騒ぎを起こすことも、お尻から祭りばやしが聞こえることもなく2か月が過ぎ、出産当日を迎えた。

 

初産だというのに、陣痛の間隔が狭まるのも子宮口が全開になるのも早かった。しかし・・・

 

陣痛が4分間隔になった頃、わたしはお腹と背中以外のところに、痛みを感じた。

 

!!!

 

お尻だ!

 

 

お尻から祭りばやしが聞こえてきた。

 

炭坑節たんこうぶしくらいの穏やかな祭りばやしだったのが、気づけば365歩のマーチからお祭りマンボ、最後にはベートーベンの運命・・・

 

もうお祭り騒ぎどころの騒ぎではなく交響曲だ

 

痛い。

 

お尻が猛烈に痛い。

 

陣痛の最中は、お腹と背中の痛みでお尻の痛みを忘れるのだが、陣痛が少しおさまると、次はお尻が痛い。

 

一息つく間もなく、お腹⇒お尻⇒お腹⇒お尻と、フルコーラスの悪夢。

 

 

わたしは助産師さんにお尻の痛みを訴えた。

 

すると助産師さんは『あー。そっかぁ~アレだったのね~大丈夫よ~心配しないで~諦めないでぇぇ~』というようなことを言っていた。真矢みきかよ。

 

陣痛の間隔はどんどん狭まり、子宮口も全開!いよいよ出産!という時。わたしのお尻は大噴火寸前だった。

 

 

わたしは赤ちゃんに出会える喜びより、これで妊婦生活が終わるという安堵感より、

 

 

お尻は割けていないだろうか?痔は現在どんな状態なのか?あなた変わりはないですか?日ごと痛さがつのりますという状態で、そればかり気になっていた。

 

 

カンガルーケアをしている最中も『お尻が痛い・・・お尻が痛い・・・』と呟いていたし、助産師さんに『がんばったわねー。お疲れ様』と言われても『ところで、お尻の方の治療はいつになるんでしょうか?』と真顔で聞いていた。

 

入院中も痛かった。

 

授乳で椅子に座るたびに『ぎゃー』と、一人で大はしゃぎしていた。そのおかげで会話が広がり、友達も沢山できた。

 

痔仲間まで出来てしまった。入院中、自分の壮絶な自伝ならぬ『痔伝』を語り合った。

 

その後

 

わたしの痔は単成火山たんせいかざんのごとく、一度の活動でその役目を終えてしまった。

 

改めて振り返ると、妊婦の痔は恥ずかしい事ではない。

 

『ちょっとお尻が通常とは違う状態』『個性的なお尻』『わがままヒップ』だと思えば、愛着すら持てる。

 

最後に・・・

『いや!うちの妻は妊娠中だけど痔ではない!』と言い張るあなたに、一つだけアドバイス。

 

 

 

あなたの愛する妻は『痔』だ。間違いない。

 

 

 

おっしまーい^^

恥ずかしくて薬剤師さんに相談するとかムリという、奥ゆかしいあなたに。
大丈夫だよ、ここから買えるからね!
妊婦にはMだよ!
大事なことだから、もう一度言うね、妊婦にはMだからね!

 

▼次はコチラ 便秘の解消法▼

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