妊婦の痔:おもしろ(ホントは笑えないくらい痛い)体験談【WEBエッセイ】
Warning: Use of undefined constant full - assumed 'full' (this will throw an Error in a future version of PHP) in /home/presso/beauty-nachi-mam.com/public_html/wp-content/themes/elephant3-child/single.php on line 65

スポンサーリンク
2008年1月末。
妊娠8か月。
わたしは、満を持して痔になった。
いや、『満を痔して』と言うべきだろうか。
痔=恥ずかしいとか、隠したいと思う気持ちは、人間として当然の心理だろう。『羞恥心』とは本来、痔を語るときに使うものではないのか?と錯覚してしまうくらい、どんぴしゃりな言葉だと思う。
それ故、羞恥心の塊である『痔』を、好き好んで話す人種はいないと思う。ましてや体験談なんて、以ての外だ。
他人がいぼ痔であろうが、きれ痔であろうが、聞かされた方はリアクションに困るだろうし、最悪、近寄ったら痔がうつるんじゃないか?!という疑いをもたれる可能性だってある
念の為言っておくが、痔はうつらない。
痔は、水虫のようなカビの一種ではない。
今回は妊娠中におきた悪夢『痔』について、堂々と暑苦しく語ってみようと思う。
お気づきかも知れないが、通常であれば痔の話をするとき
実は・・・(/ω\)照
わたし・・・(/ω\)テレッ
痔になったことがありまして・・・(/ω\)テッテレー
と恥ずかし気に語るべきなのだろうと思う。しかし恥ずかし気に語ったところで、可愛げも奥ゆかしさも感じない。
だったら、堂々と語った方が潔いではないか。
話す内容自体が、初恋の甘酸っぱい思い出でもなければ、修学旅行中に写ルンですで、好きな彼を隠し撮りした思い出でもない、妊娠中に起きた、ただのお尻の大惨事『痔』なのだから。
目次
妊婦は痔主が多い
妊婦は大概、痔になるのだ。
最愛の妻だって、近所の綺麗な奥様だって、堀北真希だって小倉優子だって、みんな痔だ。
モー娘。OGに至っては、揃いも揃って痔だ。
わたしも後に続けエンヤコラと、妊娠8か月の頃。どこから見ても『妊婦様だ!ドスコイ!』と言わんばかりの貫録を出していた頃、うっかり痔になってしまった。
その頃の私は妊娠後期に入り、貧血が酷かったため『鉄剤』を処方してもらい飲んでいた。
副作用の欄に『便秘』という文字も書かれていたし、お医者さんも『鉄剤飲んだら便秘気味になるよ』と忠告していた。
当の本人は『へー』だの『ほー』だの『そうでやんすかー』という具合に、便秘をたいそう甘く見ていたのだ。
便秘つっても、出なかったら便の方もさぞかし辛いだろう。頑固な性格とはいっても、こちらが便に対して寛容な心を持っていれば、便だって心を開いてくれる。
わたしの方が便に歩み寄ればいいだけだ。
便と人間の間には、切っても切れない。いや、実際便を切るとか想像するだけで吐きそうになっちゃうんだけど、便だって3~4日もたてば居心地悪くなって
『もー!ごめん!やさぐれて粗ぶってたけど、やっぱ出るわ。そんでさ、語り合お?』
とか言っちゃって。わたしはそんな便をそっと抱きしめながら、
『便ったら、ほんと素直じゃないんだから・・・もういいよ!許す♡ツンツン』
や!やめろよ!ツンツンとか、マジで『にこちゃん大魔王』みたいじゃんか!
『もー♡ツンツン!』
ちょwwwやめっっww
という、くだらぬ妄想をしている間に、便が出ないまま一週間がたってしまった。
状況はかなり深刻だ。
もう、便に会いたくて会いたくて眠れぬ夜を何度過ごしただろうか?
ついにわたしはお腹が痛くなってしまった。ついでにいうと、お尻もちょっと痛い。
妊娠中の腹痛は、とにかく区別がつきづらい。
どういう意味なのかというと、妊娠中のトラブルによる腹痛なのか?陣痛の類のものなのか?それともただの『うんこ』なのか。その区別がつきにくいのだ。
[quads id=1]
妊婦の痔:体験談『ついに満を痔した』
夫も寝静まった真夜中、わたしはトイレに籠った。
夜のトイレはかなり底冷えするし、わたしは怖がりなので、夜のトイレが大嫌いなのだ。
後ろを振り返って、もしも・・・「うらめしや」なんて出てきたらどうしよう。お腹も痛いし、おまけにお尻の痛い女なんて、何も恨めしいことは無いだろうに。
『うらめしや』なんて言われた日には
『めっそうもございません。恨めしいどころか、ただただ残念無念な所存であります』
としか言えない。
後ろからだけでなく、便器の中から貞子のごとく現れる幽霊もいらっしゃるから、そちらの「うらめしや」にも十分気を付けなければいけない。
そんなことを考えていたら、出てきたので有る。
何が?とか、野暮なことは聞かないで欲しいし、察してほしい。
で、続いて出てきたのが満を痔してのアレである。
わたしは焦った。焦ったなんてもんではない。お尻がボヤ騒ぎを通り越し、カンカンカンカンバンサンカン!焼肉焼いても尻焼くな状態だ。
お尻がバンサンカンと、どんど焼きで大ハシャギしている。マッチ一本火事の元とか言ってる場合ではない。大惨事!大火事だ。
その昔、痔になった父に『ちょw痔とか、マジありえんしwww』だの『よっっ!痔主さま!』と、母が止めるのも聞かず大ハシャギしていた自分の姿が、走馬灯のように駆け巡る。
お父さん、あの時は、からかってゴメンね・・・
あなたの娘は、たった今、痔主になりました・・・
妊婦の痔:体験談・・・夫にカミングアウト
わたしはトイレの中で、絶望的な気持ちになっていた。
夫には言えまい・・・
新婚ホヤホヤの夫に『妻、痔になる』という事実は、あまりに辛すぎるし恥ずかしい。
けど、隠し通せる自信はない。
翌日は土曜日。最悪なタイミングで、夫は仕事が休みだったのだ。夫さえいなければ、応急処置として一人でボラギノールを買いに行けるのに・・・
爽やかにボラギノールを買って、何食わぬ顔で生きていけるのに。
ちなみに結婚10年たった今なら、痔のカミングアウトなんて躊躇することなく言える。むしろ、どのように面白おかしく伝えようか!
『呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!痔になったピヨォォォォン』と、陽気に言える自信すらある。
しかし、新婚は無理だ。
怖くもない蜘蛛がリビングに現れただけで『キャー!』とぶりっ子していた頃だ。
寂しくも何ともないのに『今日飲み会なんだ・・・寂しいなっ』という、演技をぶっこいていた頃だ。
痔になったなんて、言えるわけがない。
しかしカミングアウトしなければ、ボラギノールを買いに行けない。
わたしは寝ている夫を起こした。もう少し詳しく説明するなら、寝室まで痛いお尻を庇いながら、ひょこひょこと陽気な歩き方で夫の元へ向かった。そして
『大変なことが起きました』
『我、痔になって賜う』
と話し始めた。まじめな夫は深刻そうな表情で
『それは大変だ。大丈夫なのか?』というような事を言っていた。
夫には申し訳ないが、この案件については深刻に問われるほどに、面白さが増してしまう。
もし痔が、夫の問いかけに答えることが出来たなら、きっとこんな感じだと思う。
夫『それは大変だ』
痔『ほんと、大変でやんす。いきなりのボヤ騒ぎから、大火事になったでやんす』
夫『大丈夫か?』
痔『大丈夫な訳ないでやんすよ!お尻がお祭り騒ぎでやんす!
祭りばやしが聞こえるでやんすねぇ・・・』
妊婦の痔:体験談・・・ボラギノールを買いに行く
無事、夫へのカミングアウトも終わった。わたしの心配をよそに夫は、わたしの心に芽生えた羞恥心など無かったかのように、淡々としていた。
『今日はもう遅いから、明日の朝ボラギノールを買いに行こう』
『ボラギノールはドラッグストアの、どのコーナーにあるんだろうか?』
などとボラちゃんのことで、胸いっぱいという様子だった。
言い忘れていたのだけれど、夫は『なぜ痔になったのか?』という、人体の不思議を解明しようとしていた。
妊婦は痔になりやすいとはよく聞く。
赤ちゃんに栄養を取られてしまうから、便秘になりやすいらしいのだ。しかし
『なぜ痔になったんだろう?原因は?』
『うんこ』
とは言えない。わたしは苦肉の策で『妊婦の9割は、痔になっているらしい』と嘘をついた。
わたしの機転の利いた嘘のおかげで『妊婦=痔』という方程式が出来上がった。妊婦には、プラスもマイナスも掛け算も割り算も通用しない。万国共通『妊婦=痔』だ。
—翌朝—
夫と私は近所のドラッグストアへ、ボラギノールを買いに行った。
ボラギノールには、AやらMやらといった種類があるらしい。
『妊婦さんだったら、ステロイド剤の入っていないMが使えますよ。』と薬局のおばちゃんに教えてもらったので、わたしはボラギノールMを握りしめてレジへ向かった。
心の中では、ドラクエのファンファーレが鳴り響いていた。
妊婦の痔:体験談・・・出産時の悪夢
ボラギノールをゲットし、その翌週には妊婦健診があったので、さらに効きそうな薬をゲットできた。
あの晩の悪夢が嘘のように、わたしの痔はメキメキと回復し、絶好調だった。
それから再び、痔がボヤ騒ぎを起こすことも、お尻から祭りばやしが聞こえることもなく2か月が過ぎ、出産当日を迎えた。
初産だというのに、陣痛の間隔が狭まるのも子宮口が全開になるのも早かった。しかし・・・
陣痛が4分間隔になった頃、わたしはお腹と背中以外のところに、痛みを感じた。
!!!
お尻だ!
お尻から祭りばやしが聞こえてきた。
炭坑節くらいの穏やかな祭りばやしだったのが、気づけば365歩のマーチからお祭りマンボ、最後にはベートーベンの運命・・・
もうお祭り騒ぎどころの騒ぎではなく交響曲だ
痛い。
お尻が猛烈に痛い。
陣痛の最中は、お腹と背中の痛みでお尻の痛みを忘れるのだが、陣痛が少しおさまると、次はお尻が痛い。
一息つく間もなく、お腹⇒お尻⇒お腹⇒お尻と、フルコーラスの悪夢。
わたしは助産師さんにお尻の痛みを訴えた。
すると助産師さんは『あー。そっかぁ~アレだったのね~大丈夫よ~心配しないで~諦めないでぇぇ~』というようなことを言っていた。真矢みきかよ。
陣痛の間隔はどんどん狭まり、子宮口も全開!いよいよ出産!という時。わたしのお尻は大噴火寸前だった。
わたしは赤ちゃんに出会える喜びより、これで妊婦生活が終わるという安堵感より、
お尻は割けていないだろうか?痔は現在どんな状態なのか?あなた変わりはないですか?日ごと痛さがつのりますという状態で、そればかり気になっていた。
カンガルーケアをしている最中も『お尻が痛い・・・お尻が痛い・・・』と呟いていたし、助産師さんに『がんばったわねー。お疲れ様』と言われても『ところで、お尻の方の治療はいつになるんでしょうか?』と真顔で聞いていた。
入院中も痛かった。
授乳で椅子に座るたびに『ぎゃー』と、一人で大はしゃぎしていた。そのおかげで会話が広がり、友達も沢山できた。
痔仲間まで出来てしまった。入院中、自分の壮絶な自伝ならぬ『痔伝』を語り合った。
その後
わたしの痔は単成火山のごとく、一度の活動でその役目を終えてしまった。
改めて振り返ると、妊婦の痔は恥ずかしい事ではない。
『ちょっとお尻が通常とは違う状態』『個性的なお尻』『わがままヒップ』だと思えば、愛着すら持てる。
最後に・・・
『いや!うちの妻は妊娠中だけど痔ではない!』と言い張るあなたに、一つだけアドバイス。
あなたの愛する妻は『痔』だ。間違いない。
おっしまーい^^
恥ずかしくて薬剤師さんに相談するとかムリという、奥ゆかしいあなたに。
大丈夫だよ、ここから買えるからね!
妊婦にはMだよ!
大事なことだから、もう一度言うね、妊婦にはMだからね!
▼次はコチラ 便秘の解消法▼